針谷喜久雄博士

 オンラインジャーナル

 プレプリントの電子化は、 LANL(ロスアラモス国立研究所)が時期的に 先んじて始めていました。WWW で画像などが容易に扱えるようになってか ら、学術雑誌をオンラインで見られるようにしようという動きが出てき ました。日本の物理学分野では、Jounal of Physical Society of Japan (JPSJ) や Japanese Journal of Applied Physics (JJAP) の学術雑誌で、 それぞれ独自の電子化ワーキンググループ (WG) を設けて学術誌の電子 化出版に取り組んでいます。

 JPSJ は、レター論文のみ全文公開しており、一般論文は要旨のみを公開しています。 JJAP は、全論文の表題と著者,要旨のみを公開しています。論文の全文公開 は試行中ですが、オンラインで登録して読むことができます。学術情報 センターには、ほかの学会のホームページもありますから、興味ある人は眺めて みてください (http://wwwsoc.nacsis.ac.jp/)。公開範囲に制限を付けて いるのは、全文全ページを WWW で公開してしまうと、オンラインで無料 で学術雑誌全体を購読できることになってしまい、本を買っている読者と 不公平になってしまうということを意識しているからです。全文 をオンラインで公開する手段などは今まさに議論中ですが、世界的な学術 雑誌電子化の流れの中で私たちの JPSJ や JJAP を世界に向けて売り込 もうという WG 関係者の熱意は、ホームページを見ていただければおわかり いただけます。

 オンラインジャーナルの計画そのものに手探り的なニュアンスが感じら れますが、紙版学術誌を購読している読者数の減少と出版費用の上昇傾向 もあり、学術誌の生き残りをかけて、インターネットを利用した電子化出版に 徐々に移行する傾向になっています。